私は地域で民生委員を務めています。日頃から高齢者の方々の生活を見守る中で、特に心に留めている問題の一つが「ゴミ屋敷」です。それは単なる散らかりではなく、住人の健康、特に呼吸器系の疾患である肺炎に直結する深刻なリスクを抱えています。先日、担当地域のBさん(80代男性)が、重度の肺炎で病院に緊急搬送されたという知らせを受けました。Bさんは一人暮らしで、以前からご自宅の様子が気になってはいましたが、まさかそこまで事態が深刻だとは思いませんでした。病院でBさんの息子さんと話をした際、医師から「自宅の劣悪な衛生環境が肺炎の原因の一つ」であると指摘されたと聞き、私は改めてゴミ屋敷の恐ろしさを痛感しました。その後、息子さんの許可を得てBさんの自宅を訪れた時、私は衝撃を受けました。玄関から奥へ進むにつれて、ゴミが天井近くまで積み上げられ、足の踏み場すらありません。食べ物の残りカス、ペットボトル、新聞紙、衣類などが無造作に散乱し、強い異臭が立ち込めています。窓はゴミで塞がれ、ほとんど光が入らず、空気は澱み、重苦しい雰囲気に包まれていました。このようなゴミ屋敷の環境は、高齢者にとって肺炎を発症する非常に危険な場所です。まず、大量の埃が舞い上がっています。ゴミの山は埃を溜め込みやすく、その中にはダニの死骸や糞、カビの胞子、細菌などが含まれています。これらを日常的に吸い込むことで、気管支や肺に炎症が起こりやすくなり、肺炎のリスクを高めます。高齢者は免疫力が低下しているため、特に影響を受けやすいのです。次に、カビの繁殖です。ゴミ屋敷は換気が不十分で湿気がこもりやすく、カビにとって最適な生育環境となります。食品の残りカスや湿った衣類などはカビの栄養源となり、様々な種類のカビが繁殖します。カビの胞子を吸い込むことで、アレルギー性の肺炎や、場合によっては真菌性肺炎といった重篤な病気を引き起こす可能性があります。Bさんの場合も、長年にわたるゴミ屋敷での生活が、免疫力を低下させ、肺炎へと繋がったと推測されました。幸いにもBさんは一命を取り留めましたが、退院後も自宅での生活は困難であると判断され、現在、息子さんと協力して施設の入居手続きを進めています。