その水の音を放置すると水道代はいくらになるか
水道を使っていないのに聞こえる「チョロチョロ」「シュー」という微かな水の音。「大したことないだろう」と、その小さな警告サインを放置してしまうと、後日、郵便受けに届いた水道料金の請求書を見て、血の気が引くことになるかもしれません。見えない場所での水漏れは、あなたが眠っている間も、外出している間も、24時間365日、休むことなく水道メーターを回し続けます。では、実際にどのくらいの金額になるのでしょうか。例えば、トイレットペーパーが細く一本流れる程度の水漏れ(毎分0.2リットル)があったとします。これは1時間で12リットル、1日で288リットル、1ヶ月(30日)で8,640リットル、つまり8.6立方メートルもの水が無駄になっている計算です。これは、一般家庭がお風呂を40回以上満たせる量に相当します。お住まいの自治体の水道料金にもよりますが、これだけで数千円から一万円近く、普段の料金に上乗せされる可能性があります。これが、壁の中での配管の亀裂など、もっと勢いのある水漏れだとしたら、その金額はさらに跳ね上がります。2ヶ月に一度の検針で、数万円、場合によっては十数万円という高額な請求が来て、初めて水漏れに気づくというケースは決して珍しくありません。しかし、経済的な損失は水道代だけにとどまりません。漏れた水は、建物の土台を腐らせ、壁の中にカビを発生させ、資産価値を著しく低下させます。マンションであれば、階下への漏水事故に発展し、内装の修繕費用や家財道具への弁償など、数百万円単位の損害賠償責任を負う可能性もあります。そう考えると、異音に気づいた時点で専門業者に調査を依頼し、数万円で修理する費用は、将来起こりうる巨大な損失を防ぐための、最も安価で賢明な「投資」と言えるのです。